終戦のエンペラー Emperor
Blu-ray鑑賞。
思いのほか良い映画だった。1945年連合軍占領下の日本でマッカーサーが昭和天皇を裁判にかけるかどうかを見極める猶予10日間の話。発起人でプロデューサーのひとり奈良橋女史というのがラストサムライやSayuri等のキャスティングに古くはゴダイゴのモンキーマジックの作詞もした(!)という人物。おまけに終戦時昭和天皇の側近だった人の孫だとか(Wikipedia情報w)、、恐らく彼女のいろんな思いがたっぷり詰め込まれた作品であろう割りにはさほど独善的でもなく淡々としていて比較的ニュートラルな内容に仕上がっている。ラブストーリーも内包するが陳腐な箇所はない。ハリウッド作品ながら彼女のコントロールがしっかり効いているのであろう、恐らく、、、
歴代ハリウッド映画の中で最も日本を正しく描写している作品だ。
そしてキャストが凄い。マシュー・フォックス(LOSTの主役)、トミー・リー・ジョーンズ、夏八木勲、伊武雅刀、西田敏行、桃井かおりと日米とも超一流どころを取り揃えている。ヒロインの初音映莉子が長澤まさみ辺りだったらなおよしだったろうが英会話力を求められるからやむなしか。いやいやどうしてどうして映莉子嬢も大変魅力的だった。無難に菊地凛子をキャスティングしなかったところは良かった(笑)
ストーリーはある程度史実に基づいているが過信は禁物、これはあくまで娯楽映画、半分はファンタジーと理解する必要がある。この映画のクライマックスシーンでもある、天皇がマッカーサーに「全責任は私にあり自分をどのように裁いてくれてもいいが我が民に食糧を」と言った(と当のマッカーサーが回顧している)という逸話もその後の研究で色々と疑義が出てきているらしいしな。それでも当時の日米の空気感や文化の違いを上手く描いていると思うし他国の人に日本人の不可解な言動の意味合いを伝える一助にはなっているのではなかろうか。この映画をきっかけにあの時代の歴史に興味が持てれば素晴らしい事だ。
想像に難くない、この映画は興行収入が振るわなかったらしいが、それでも映像作品としてあの時代の一解釈を後世に残せた事、誇りに思っていいと思う。いろんな国のいろんな人に観てほしい作品だ。